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雲間から月光の刃くだりきて 嵐の後の激流を刺す

美しき その手 その指 その爪に 絡まる風の糸です わたし

ため息を おさえる手から 溢れ出す ただなんとなく あたたかきもの

いつだって永遠ばかり祈ってる ヨーグルトかき混ぜてるときも

あばらから葛の蔦つと這い登り 我がかんばせを闇におほへり

まだ白い鯨の背骨であった頃 わたしはうまく呼吸していた

それでもいい 世界を説明するための 指さえあれば何もいらない

正しさも 後ろめたさも 貧しさも すべてを赦す朝よ 弾けろ

あの日から,枯れた花を捨てなくなった.拾った落ち葉もチーフに変えた.