Entries from 2019-06-01 to 1 month

なんだかふわふわとした日だった.時間はなんとなく変化させて,静かに消えていった.白昼夢の中を泳いでいるようだった.幸福でも不幸でもない,特殊な日だった.例えば今日が,明日も続くとして.今日の状態を引き継いだ,次の夜明けから始まる時間を明日…

手紙を書こうと思ったけれど,出す相手がおらず,困った.そこで,誰に渡しても,喜んでもらえるような手紙を書こうと思った.一般的に良い言葉を並べ,一般的に情感や官能をくすぐるような表現を散りばめた,誰に見られてもいいような手紙を書いて,道端に…

好きな匂いを嗅ぎたい.大学の廊下の匂い.昔住んでいた部屋の匂い.母のタンスの中の匂い.友人の車の中の匂い.もう二度と会わないかもしれない,昔よく会った友人の表情.無性に,乱暴に楽しかった.最後は,じゃあまた,と言って別れた気がする.また,…

「なあ,このところ絶望について考えているんだ」 「そうか」 「君は絶望について考えたことはあるかい?」 「無いね」 「一切か?」 「一切だ,かつて,これまで,断じて」 「言い切ったな」 「言い切るさ」 「どうして言い切れる?」 「どうしてって,絶望…