Entries from 2020-08-01 to 1 month

自己認識と格闘し続けている.自分が何者なのかについては既に自分なりの答えを出している.良くも悪くも,この世界の多くの場面で僕はアウトサイダーなのだろうし,そんなことはもうとっくに呑み込んでいるつもりだ. それでも,やはり普通が遠い.普通に生…

おっと、今日はあと15分しかない.つまりこれが今日の日記であるためには,あと15分以内になんとかそれなりの分量の,テクストに起こして差し支えないような内容のある文章を書かなくてはいけない.今日は一日中ずっと外国語をやっていた.フランス語の単語…

今日は結局,一歩も部屋から出なかった.外が暑かったからじゃない.久しぶりに,外に出る用事が一切なかったからだ.二十数歩あるけば必要なあらゆるものが手に入る自宅というお手製の楽園で,僕はそれでもずっとイライラとしていた.タバコが切れていたか…

時間について.特に過ぎてゆく時間とその観測について. 楽しい時間ははやく過ぎる.物理的な連続時間ではなく,体感としての時間についてこれは鮮明に実感される. しかし楽しく過ごした時間を振り返れば,そこにはたしかに楽しく過ごした過去の記憶が濃密…

円の数をかぞえる.円,円,円,円,円,そして円.見慣れない天井には円形のオブジェクトしか存在せず,うち一つは自ら発光し,一つは使命を忘れたまま沈黙し,一つは自ら発光する円筒を鉛直方向に固定していて,残りの三つはただ単に淡々と円であり,その…

歯を磨いてから,月を探して外に出た.真夜中の街は静かで,僕は自分に由来するあらゆる音を聴き分けることが出来た.髪を風が揺らす音.呼吸の音.すこし弾んだ声.近くを自転車が何度か往来したが,僕に由来しない存在はそれらくらいのもので,あとは街も…

途中まで書いたまま,先の展望もなんとなしに見えているのにどうも手が動かずに書き進めずにいる小説を,少しだけ手直ししようとして,やめた.やはり長いものは書き慣れない.とはいえ,書かないでは書かないで精神に負荷がかかるばかり.えいと決め込んだ…

僕がかつて信じていたことは,結果だけ考えれば,ほとんどが信じるに足らないことばかりだったけれど,それら,かつて信じていたことごとの中で,幸いにして最大の予想外は,僕が救われる可能性,つまり,自分に自己救済以外の,一般に使われる意味での救済…

真っ青な夏の夜にひとりで街を歩いていると,不意に携帯電話がなった.きみからだった.液晶画面にうつるその名前を見て,身体の奥から,沈殿した記憶が舞い上がるのを感じた. もう3年になる.3年前の,あれも夏のことだった.翡翠色の海の水際を,朝焼けに…