Entries from 2019-08-01 to 1 month

風鈴を破った.夏の終わりが近い.空が降りてくる.蝉の声が減って,蝉の死骸が増える.蜻蛉が夕暮れを直線的に横切る.すぐに,名ばかりの秋が来て,過ぎて,冬になる.夏の弔いに,アイスコーヒーの氷を噛み砕く. 音楽をたくさん聴いた.僕はピアノが好き…

言語表現の皮肉に思いを馳せる.いつも,成功した言語表現は,官能を伴う.言語表現が,言語表現として,その構造や体裁が整っているだけでは,それはまだ成功とは言えない.伝えたいことは,手に取るように伝わらなくては成功ではない.言葉は手に取れない…

短い緑道を歩きながら,蝉時雨が痛い程だった.雲間からさす光の条を.雨上がりの風が揺らした.缶の紅茶を飲んで,歩きながらタバコを吸った.少し疲れていた.昨日も,あまり眠らなかった.そんな寝不足の頭の中で,セミの声と,草いきれと,義務と責任が…

世界が,この世界が,悲しみで満ちていなかったことなどない.いつでも世界は悲哀一色に染まっている.だから,僕はいつも嘆いている.なんでこんなに悲しい世界を生きているのか,その理由がわからないからだ.抱えきれない悲しみに押しつぶされながら,そ…