Entries from 2019-11-01 to 1 month

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まだ僕が夏の嵐であった頃 鉄を喰い 砂を飲んでいた頃 喩えれば 土に埋まった乾電池 あるいはぬるいソーダ そんな日 過ぎ去りし紺色の壁紙の日々 うたかたの日々 花だらけの日々 ともすれば 街ごと吹き飛ばしてしまうほど強烈なきみのまばたき 後ろからそっ…

すべてのありふれた光も,朝も,間違った姿勢で眠る夜も,青かったり,やけに憂鬱な赤橙だったりする空も,言葉も,詩と呼べそうな表現のかたまりも,電磁気的な力も,完備半順序構造も,鉱石みたいな爪の色も,手書きのトランプも,蛍光灯のどこか病的な白…

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冬はいい 水道水が冷たくて 美味しい それに祈りが清い 最初から単純な感情だった.ただ精密に奪いたいだけ. 五線譜に書いてみたきみの名前から溢れた音符で息ができない これはいま,今朝の寝坊の原因をロールケーキにふりかけています 満月に浸したペンで…

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真夜中に 親指の爪噛みながら引数にとる realWorld ふるぼけた月には紅い口付けを 星には蒼いアルゴリズムを 夕凪の野を這い渡る虫の音と 革命の骸 瓦礫 瓦礫 目覚めたら未来の群れに囲まれていて,僕はまた寝たフリをした 新世界より放たるる光線を 受けて…

泣き言を言った.泣き言を言わないと決めていたのに,決意の隙間から退屈と倦怠がこぼれ落ちてしまった.僕はとても幸せな人生を送っている.そしてその幸福に呪われて,その幸福を悲しんでいる.相変わらず世界はどうしようもなく悲しいままで,それなのに…

吐き出す.こうやって,感情を言葉にして無理やり吐き出す.そうしないと息が詰まってしまう.息が詰まってばかりの生き方をしていて,うまく呼吸ができていたであろう頃のことを,もうあまり思い出せない.遠い過去.僕がまだ多くの意味で更生可能……すくな…

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雲間から月光の刃くだりきて 嵐の後の激流を刺す 美しき その手 その指 その爪に 絡まる風の糸です わたし ため息を おさえる手から 溢れ出す ただなんとなく あたたかきもの いつだって永遠ばかり祈ってる ヨーグルトかき混ぜてるときも あばらから葛の蔦つ…

このところの書き物はなんだか散漫でとても良い.散漫なものを書く訓練というのは非常に難しく,というのは基本的に訓練というのはなににつけてもまず散漫ではない行為を速く正確にこなせるようになるための研鑽のことなので.散漫に散漫に,自我なり美意識…

あまりにも不甲斐なかったので,およそ心の動きと呼べそうなものをまるっきり全部止めた.ただの機能になったつもりで手足や口を動かした.僕の身体のすべての部分は,僕の身体をインターフェースとする行為の結果によって,そしてそれらによってのみ規定さ…

自己肯定感について粗雑なことを考えたが,あまりにも粗雑に過ぎて,あれを考えと呼ぶのは我ながらかなりおこがましい.なぜ自己肯定をしなくてはならないのかなど,その辺りのことをぐるぐると考えていたら,肯定すべき自己を果たして自明に仮定していいの…

たとえば,自分をしっかりと見守ること.たとえば,自分の気持ちを言葉に落とし込むこと.たとえば,自分の嫌悪感や危機感や罪悪感を飲み込んで堪えること.たとえば,自分が好きなものや好きなことや好きな人についての過剰な賛美を握り潰すこと.たとえば…