Entries from 2019-12-01 to 1 month

言葉にしかやはり興味がない.僕は言葉の問題にしか興味が持てない.逆に言えば,言葉についてはすべてを知りたい.すべての仕組みを知りたいし,すべての可能な表現を知りたい.不可能だとは分かっている.そんなことは出来ない.出来ないことだって望んで…

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恍惚の朝に祈りは燃え延びる 亞拉比亞の月の色の瞳に いまだ名も無き花に名を与えむと霜降る土に春を掘る指 落涙をザッハトルテで受け止める そのままかぶりつく やわらかい 足といふ 過度に詩的な対象が 坂をのぼり おり またのぼるのだ 言葉などなくていい…

口紅を塗ること.中心から右へ,あるいは左へ,まあ左右盲の僕からしたらどちらでもいいのだけど,とにかくどちらか片方へ向けて,可能な限り滑らかに擦り付ける.色素が薄い皮膚に付着する.続けて,先ほどとは反対の方向へ,同じ動きを施す.すると口紅は…

無性に文章を書き殴りたくなる時がある.つまりそれは,文章を書き殴ることでしか発散されないような何かが僕の中に蓄積しているということで,そんなものが蓄積するということは裏を返せば,僕は文章を書くことをきっとやめられないということなのだろう. …

楽器が奏でる音色を音楽と呼ぼう.僕は楽器を演奏するのが好きだ.弦や鍵盤に触れると落ち着く.僕は楽器の音色を聴くのが好きだ.触れた弦や鍵盤を弾いて鳴らすのが好きだ.人の歌声を広義の音色とし,その広義の音色の音源であるところの人の身体を広義の…

賢さなるものに実体を与えようとして間違える人々をずっと見てきた.賢さなんてなんの意味もない.それはただの性質に過ぎない.そこに意味を見出す解釈者がいて,それは初めて意味を持ち,その意味に対して価値がつく.賢さは通貨のようなものだ.いつも相…

劣等感についての簡単な覚書. 自分が自分を愛し抜くための素材が欠乏していること.不足.欠落.渇望.許されたいという切望.差し伸べられた手を握り返す勇敢さの欠如. まだ見ぬ可能性への非合理的な恐れと,見えすいた結果への諦念.すべてを諦めてしま…

大いなるものに触れた時のあの恍惚が蘇ってきた.静けさ.虚無.魂だけがざわついて,そこに全官能が釘付けになる感覚.ある種の麻痺.何もかもが自分を経由して,遠くへと過ぎ去ってゆく感覚.情緒や情感は消え果てて,ただ真っ平な,どこまでも平坦な印象…

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真っ白な風船を手離した朝にピアノの音はふるへておれり オリオンの肺を貫くセスナ機の点滅に血の滴りを見ゆ 魔界へとかへりしか病める大鴉 冬の桜の枝をくはえて ままならぬモロッコを首に引き受けて かの日離した手を握る夜 "美意識"と口にするたび我が胸…

真珠が真珠になるためには,核が必要だ.アコヤ貝の中には,もともとその体内に核を持つ個体も存在するが,そうした天然の核から生成されるのは,いわゆる宝飾品としての真珠ではない,文字通りの歪み真珠だ.宝飾品としての真珠の核は,人間によって球形に…

計算とは何かという問いにこたえるのは難しい. 任意の x について,x とは何か,という形式の問いに答えることは難しい. なので,一旦,計算とは,計算機がやること.あるいは計算機がやっていること,くらいに考えておく. では,計算機が計算をするため…

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思惑が一粒夜から垂れてきて 手指の爪を紅く染めゆく いつまでも孤独なままなのだ 人間(ヒト)も,人間の棲む惑星(ホシ)も,あなたも ゆくならば 薔薇を一輪摘んでから 瞳を月で拭いてからゆけ ‪寝不足の街にわたしは立ち止まる 白夜に惑ふ日時計となる Java …

要するに Haskell で取り回しが難しいのって Monad みたいな抽象じゃなくて,Non-Strict Evaluation なんだよねって話. foldRight の概念を OCaml で説明したところ,"Right があるのならば Left もありそうだけどどうなの?" という極めて妥当な質問を受け…

喜びがまだ喜びであった頃.悲しみがまだ悲しみであり,月がまだ自力で輝き,太陽はまだ天球儀の内側に貼り付いた丸いシールで,まだ人に肺と心臓以外の器官がなく,腕と翼の区別もなく,星々が神話の住処であり,風が音楽を,森林が死を,火炎が祈りを,水…

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いつの日か空の鼓動も鳴り止んで やがて世界に降り注ぐ羽根 威風堂々 沢蟹の隊列が 道を這う我が影を踏み切る "複雑な悲しみ"と名付けた梨を 切り刻み噛み砕き嚥み込む 冬ですし寝ているつもりです 星の瞳が蒼く開く朝まで 明日にはもう光にもなれやしない …

命題論理を構成する基本的な要素は原子命題(atomic proposition)である. 原子論理式はそれ以下の要素に分割できない. 任意の原子命題は命題記号で表現される. 命題論理における意味論は,命題記号として表現された原子命題への真理値の割り当て(解釈)とし…