Entries from 2020-02-01 to 1 month

書きたいことがたくさんある.書いてきちんとした思い出にしたい.僕は書きながら覚えるし,僕は書きながら思い出す.筆記と記述は僕の中でとても密接に結合している. 覚えておきたいことというのは,つまりすぐに思い出したいことだ.僕はこの数日間の出来…

真夜中.記憶に形を与えてゆく. ガーデニアの匂いは,昔,夏,祖父の花壇の前に立ち尽くした時と同じ匂いがした.もう跡形もなくなくなってしまったあの花壇について,母がどうしようもなく悔しそうに言っていた恨み言を思い出す. 「綺麗にしていたのに,…

書きかけのものばかりだ.僕は何かと終わらせるのが苦手で,あれこれ手を付けては中途半端にしてしまう.それでも,比較的文章をまとめるのは得意で,なんとか書き終えたものにはタイトルを与えて,作品としてアーカイブしている.誰が読むかは知らないし,…

翼の具合はどうだろう.気にかかる.高いところまで飛ぶはずの君のことを考える.きみはきっといつか,何かを変える.それはたぶん,抽象的で大きな概念だと思う.虹とか,文学とか,あとは,そうだな,恋愛とか,人間とか. その翼には高い空が似合う.僕が…

手が止まらない.もう寝ないと.寝ないと.って,2時間ほどジタバタした挙句に,ちょっと書き物を始めたら,どうにも脳みその奥がヒリヒリとして,言ったように,手が止まらなくなってしまった. 悪い癖なのだけど,興が乗ってくるとアクセルを踏みしめて離…

東京の真ん中の初春の夜の記憶.僕は過呼吸になって倒れた.ぬるま湯に身体を浸して,じわじわと体温を戻す.口にはビニール袋.バスタブの中で血液を解凍する. 初めて何かを守ろうと思った時のこと.折れてしまったクレヨンに,ビニールテープを巻き付けて…

6年前のこと.坂の多い街に住んでいた.僕の部屋までには,急な坂道をくだる必要があって,なんであんな場所に暮らしたのだろうと,いまだにすごく不思議だ.とにかく,僕は坂の下に住んでいた. たくさんの本に囲まれていた.例によって,たくさんの花にも…

ようやく心が,心の耐えがたい多動が止んだ.世界が静かだ.こんなにうるさい世界を,きっとだれよりもまとまりのない,はちゃめちゃな世界を生きているのに,どういうわけか僕の日記は大人しくて,読み返すたびに不思議な気持ちになる.自分で書いておいて…

自動筆記

何を書くか決めてここに何かを書くことはほとんどないがそれにしても何も一切決めずに今脳内で発生した語や節をひたすらに垂れ流し続けるという思考実験というか思考ではない単なる実験をしてみようと思い立って今そうしている.僕は何を思うだろう.僕はど…

57577

巨大とは孤独か 孤独は苦しいか 鯨の尾鰭の骨を撫で問ふ 歌にするまでもなく既に歌である君をこうして歌にした歌 完全な後ろ姿のかたわらの陶器の罅に這い寄る静寂(しじま) 言葉にはならぬもの 言葉そのもの 詩も歌も夢も声も光も 部屋であることを忘れた空…

自動筆記の練習 訓練 うまく脳の力を抜く 力を抜いて脱力して 何も干渉せず 誤字の訂正も 最小限にとどめる はやく大量に書こうと思うな 思考なそんな速度で動いていない 思考の速度に記述の速度を合わせる 歩調を同調させる よけいなことを考えない なにが…

流れるように言葉を吐き続けたら,心がずいぶんと軽くなった.言葉を溜め込むと,一言一言がやけに重たくなっていけない.もちろん軽薄なことが言いたいわけではない.軽薄さにある種の美徳を感じないわけではないが,積極的に軽薄な言葉を使いたいと思うほ…

昔いた街の記憶.短い間.とても短い間,僕はたしかにその街にいた.僕はその街で,とびきり天井の高い部屋に暮らすことに決めた.決して広くはなかったが,とにかく,とびきり天井が高かったので,閉塞感はなく,それなりに開放的な生活だった.壁の一面が…

眠れぬ夜だ.眠れぬ夜にすることといえば相場は決まっている.計算か作文だ.計算は寝転がりながらだと少々難しい.計算機は寝転がって使われることを想定した作りになっていないし,なにより,寝転がったまま計算に必要な能力を発揮するのは難儀だ.やはり…

自分が出来ないことと,自分が苦手なことはとことん違うのだなと思う.ただその瞬間に出来ないだけのことを,苦手なのだと思い込んで及び腰になってしまうのは悲しい.うまく出来ないことは(必要なら)上手くできるようになればいいだけの話で,必要がないな…

くだらない日記ばかり書いている.というつもりだったけれど,ここに残しているものは,どうもあまり日記という感じがしない.というのも,僕は厳密な意味で生活を営んでいない.日記に必要と思われるところの暮らしというもの,あるいはそう呼んで差し支え…

素描

月光がにわかに照らした.断崖から吹く海風が木々の間を縫って,這うように森に染み込んだ.冬の終わりの枯れきった森は,今夜もきびしく沈黙している.天空.高々と,眩ゆく白い月から,少し離れて,まばらに星が散る.夜空は匂うほどの深い藍色で,夜の海…

時は老いる.永遠を信じるのが日に日に難しくなっていく.かつて,そうだな,ちょうと10年くらい前だったら,いつでも振り返ればそこに永遠があり,足元を見ればそこらじゅうに永遠や永遠のかけらが転がっていて,鏡の前に立てばすぐに自分が永遠そのもので…

57577

‪毒以って人を殺めて骨もって人を悩ます不具といふうを‬ 午下り 摩天楼どもの照り返す 陽だまりで読む『射影幾何学』 ‪下線(b) 「愛」の正しい説明を 暮らしの中から抜き出せ (5点)‬ 梅の香の中でわたしは見失う 道も予定も意味も光も 香水の瓶を真水で満た…