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冬はいい 水道水が冷たくて 美味しい それに祈りが清い

最初から単純な感情だった.ただ精密に奪いたいだけ.

五線譜に書いてみたきみの名前から溢れた音符で息ができない

これはいま,今朝の寝坊の原因をロールケーキにふりかけています

満月に浸したペンで羊皮紙に書く月のない街の顛末

地下のようでいて完全な地下でない 少しだけ地下なカフェで飲む水

夜に迷ひ 路地のあわひに踊りつつ てんとう虫と韻を踏むのだ

夕霧に紛れ軒先を飛び交う仔猫 その名を"怪盗"といふ

獣道 夏の骸を蓄えた かつて冷凍庫だった柩

それすらも翼と呼ぶのなら 人が天使でなかった歴史などない

摘むならば詩歌を 編むなら言の葉を 砂漠を語るきみの舌から