比喩.翼があった頃の記憶.偽りの記憶だ.比喩としても比喩でなくても,僕の背中にはついぞ翼など生えなかった.胴から四肢が生えているのかすらも怪しい.さながら,肥大した頭蓋骨に肺と心臓を捻じ込んだような,歪な生き物に,翼はきっと似合わない.

人間と話している間だけ人間でいられる.人間と話していないとき,僕は空気の抜けたサッカーボールになっている.

夢と希望.達成.素敵だ.自分の能力を活かすこと.素晴らしい.能力があれば活かせばいい.道理にかなっている.問題はとりたてて能力が無い場合だ.能力とはなんだ.

破滅という漢字の見た目が非常に良いせいで,どうしてもこの言葉を使いたくなってしまう.スピード感,勢い,薄くヒビ割れたイメージと,飛び散る破片の映像.