焦る必要のないことに焦り,焦らなくてはならないことに焦らない.これは僕の抱えるもっとも深刻な問題のひとつだ.そもそも,うまく,適切に焦る方法を知らない.ぼーっとしているか,パニックか,どちらかだ.最近はほとんどパニックにならないので,つまり,ほとんどぼーっとしている.

雨が降っていた.雨粒が見えるほどの雨は久しぶりで,春の嵐を予感させた.今年もまた,尊かった冬の葬送をはじめなくてはいけない.具体的にいうと,厚手のコートをクリーニングに出すとか,お風呂の温度を1度下げるとか,予備の箱ティッシュを買い込むとか.あとは,みかんを食べきってしまうとか.そういう葬送.

久しぶりに大外れの本を引いて心がときめいてしまった.たんなる外れはつまらない.だけど大外れは面白い.たぶん大当たりよりもずっと面白い.大外れな本は気楽に読めていい.そんな具合だからあっという間に読み終わって,読み終わった直後に捨てた.