落下していく映像.どこまでも落ちていく.加速度は感じない.すでに終端速度に達している.ただ,光がどんどん遠く,小さくなっていくから,自分の状態を落下だと認識しているに過ぎない.誤認かもしれない.もしかしたら,単なる後退かもしれないし,他にももっと,適切な表現があるのかもしれない.ただなんとなく,今の僕には落下が似つかわしい.加速もせずに,鉛直下向き,緩慢で怠惰な落体.

呪われた遺伝子について.はるか先にある死を思うこと.行き詰まった感情をあり合わせの幸福で覆う.無力感.

人生や世界といった抽象的なものにはもうとっくに絶望しているので,最近の絶望はもっとずっと具体的だ.具体的なら対処のしようもある.もっとも,対処するかどうかはまた別の話だけど.