いつかゆっくりと平成を振り返りたい.僕にとっての平成は,青年期そのもので,悔しさと無力感にいつも苛まれていた,そんな季節だった.色々と,ものを書いたり,計算をしたり,させたり,言葉について考えたり,自分の美意識を矯めつ眇めつ観察したり,そんなことをしていたら,青年期は終わっていた.まだ続いているつもりでいるけれど,きっともう,本当はとっくに終わっている.何だか情けなくなる.

人生が動き出したのはいいが,やけに忙しない.忙殺という言葉を使ってしまいたくなるほど,忙しない.日常が押し寄せてくる.津波のようだ.退屈を押し流していった代わりに,生きるということの絶え間ない焦燥を,日常は連れてきた.以前よりは少しだけ,それを楽しめるようになっている自分がいて,嬉しくなる.