赤い光.

白い肌.

青い窯.

今日はだいたい,それでぜんぶだった.三色で綺麗に塗り分けられる一日だった.

坂道を,登って,降りた.墨を溶いたような,ほの明るい夜空.天体はそこにあっただろうか.あったのだろうが,見なかった.今日は何も見上げなかった.前と横ばかり見ていた.時折,後ろを振り向いた.

雑踏,雑踏……雑踏.行き過ぎる声.主張.正義らしきもの.灰の山のようなもの.おおよそ2種類の性別が入り乱れていた.僕は無性に読書がしたくなって,本がたくさん置いてある喫茶店に入った.

入ってから気がついた.僕は読書がしたかったのではない.

カモミールティーを注文して,すっかり冷めてから一気に飲み干した.

カモミールティーが冷めるまでの間,一人でプログラムを書いていた.