風鈴を破った.夏の終わりが近い.空が降りてくる.蝉の声が減って,蝉の死骸が増える.蜻蛉が夕暮れを直線的に横切る.すぐに,名ばかりの秋が来て,過ぎて,冬になる.夏の弔いに,アイスコーヒーの氷を噛み砕く.

音楽をたくさん聴いた.僕はピアノが好きだった.それと,拍と調の旋律の入り組んだ,パズルを解くように聴く音楽が好きだった.そんなことを思い出した.ほかにも何か思い出したのだけど,何を思い出したのか,思い出せない.