2019-11-20 57577 まだ僕が夏の嵐であった頃 鉄を喰い 砂を飲んでいた頃 喩えれば 土に埋まった乾電池 あるいはぬるいソーダ そんな日 過ぎ去りし紺色の壁紙の日々 うたかたの日々 花だらけの日々 ともすれば 街ごと吹き飛ばしてしまうほど強烈なきみのまばたき 後ろからそっと抱きしめたのでしょう その翼さえそこに無ければ 解答を略した君の表情にもう一度引き直す補助線 花を煮た直後のダッチオーブンの底で黙する貝の悲哀しみ 星座から神話を引き剥がしたあとの 剥き出しの恒星の浅漬け