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まだ僕が夏の嵐であった頃 鉄を喰い 砂を飲んでいた頃

喩えれば 土に埋まった乾電池 あるいはぬるいソーダ そんな日

過ぎ去りし紺色の壁紙の日々 うたかたの日々 花だらけの日々

ともすれば 街ごと吹き飛ばしてしまうほど強烈なきみのまばたき

後ろからそっと抱きしめたのでしょう その翼さえそこに無ければ

解答を略した君の表情にもう一度引き直す補助線

花を煮た直後のダッチオーブンの底で黙する貝の悲哀しみ

星座から神話を引き剥がしたあとの 剥き出しの恒星の浅漬け