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いつの日か空の鼓動も鳴り止んで やがて世界に降り注ぐ羽根

威風堂々 沢蟹の隊列が 道を這う我が影を踏み切る

"複雑な悲しみ"と名付けた梨を 切り刻み噛み砕き嚥み込む

冬ですし寝ているつもりです 星の瞳が蒼く開く朝まで

明日にはもう光にもなれやしない 紙飛行機の空中分解

秋色の酒に呑まれてうっとりと冬の日向に目覚めてしまう

概念が風に巻かれて散ってゆく 資本主義とか存在と無とか

手に"人"を何度書いても足りなくて "Shangri-la" とも二度書いて飲む