2019-12-13 57577 真っ白な風船を手離した朝にピアノの音はふるへておれり オリオンの肺を貫くセスナ機の点滅に血の滴りを見ゆ 魔界へとかへりしか病める大鴉 冬の桜の枝をくはえて ままならぬモロッコを首に引き受けて かの日離した手を握る夜 "美意識"と口にするたび我が胸に降りしく蒼き酸性の雪 たえだえに表現力が遡上する 仮定法過去完了の川