2019-12-26 57577 恍惚の朝に祈りは燃え延びる 亞拉比亞の月の色の瞳に いまだ名も無き花に名を与えむと霜降る土に春を掘る指 落涙をザッハトルテで受け止める そのままかぶりつく やわらかい 足といふ 過度に詩的な対象が 坂をのぼり おり またのぼるのだ 言葉などなくていいとは言うものの あるならあるに越したことはない 翔ぶからに 夕さり純白く染め抜きて 鷺発ちにけり 冬,きはまるる 人も無く 音も無く 非常口のみが 剥製の眸をあをく灯せり