言葉にしかやはり興味がない.僕は言葉の問題にしか興味が持てない.逆に言えば,言葉についてはすべてを知りたい.すべての仕組みを知りたいし,すべての可能な表現を知りたい.不可能だとは分かっている.そんなことは出来ない.出来ないことだって望んでいい.人の欲望は柔軟で野放図だからこそ際限がないのだ.僕は言葉のすべてを知り尽くしたい.誰よりも,言葉とは何かということを理解したい.誰よりも言葉を深く理解しながら言葉を使いたい.そのために出来る限りのことをしたい.努力と言っていいなら,努力は惜しみたくない.僕は永遠に言葉のことを考えていたい.囚われていると,よく言われる.それでいい.僕は好きで言葉に囚われている.自分から,伊達と酔狂で言葉の虜囚を名乗っている.だからこそ,恥ずかしげもなく詩人を自称したりもするのだ.僕は言葉の人でありたい.しかしこの,言葉の人という肩書きが,いかにも坐りが悪いから,僕はしかたなく,堂々と,詩人を名乗っている.