無秩序に無制限にただひたすらに際限なく続いてゆく一列の灰色の隊列を思う.先頭から頭蓋骨が転げ落ちて,黒い髪の少女がそれを拾う.夢だったのかもしれない.夢にしてはずいぶん繊細だったし,もちろん現実であるわけがないし,きっと僕の脳はすこし疲れていて,その疲れは乳酸性の疲労というよりはむしろ,運動不足の少年の膝のような,エネルギーの発散を待ち焦がれる爆発寸前の衝動を堪え続けた結果の疲労に近い.僕の脳はいま休止している.動きまわりたくてうずうずしているのに,それをさせないのは僕の負の理性だ.張り裂けそうなほどに両手を広げて,歪んだ胸郭を空に向けて,ありったけの空気を肺にため,よこしまな願望の塊を真夜中の常夜灯に呼気として吹きかけた.ざまぁみろ.