泣き言を言った.泣き言を言わないと決めていたのに,決意の隙間から退屈と倦怠がこぼれ落ちてしまった.僕はとても幸せな人生を送っている.そしてその幸福に呪われて,その幸福を悲しんでいる.相変わらず世界はどうしようもなく悲しいままで,それなのににわかには信じられないくらい,途方もなく美しくて,そんな世界の片隅なりど真ん中なりで,自分が自分でいることの意味が,探せば探すほどわからなくなってゆく.未知にふるえているわけでも,無知におびえているわけでもない.本当に,ただ純粋に分からないだけだ.意味が分からなくてもなんとか動いてしまうプログラムというのは非常に悪しき状態だけれど,人生っていうのはまさにそういう悪しきプログラムの典型のような様相を呈していて,そんな人生を生きながらかそけき秩序を求めてしまう自分がなんだか,情けなくて仕方ない.