途中まで書いたまま,先の展望もなんとなしに見えているのにどうも手が動かずに書き進めずにいる小説を,少しだけ手直ししようとして,やめた.やはり長いものは書き慣れない.とはいえ,書かないでは書かないで精神に負荷がかかるばかり.えいと決め込んだ勢いでまた書けるだけ書いてしまうしかないのだが,勢いが出るほどの気迫がない.弱った.弱った弱ったと言いながらも,これまで何十という作品を仕上げてきているわけで,あれらの僕の作品群は果たしてどのように完成し,またどのように日の目を見るに至ったのか,いまとなっては当時の自分の心持ちがまるで理解できないし,まるで自分ではない誰かが勝手に手を入れ筆を入れで書き進め書き終えてくれたような心地さえもするのだが,普通考えてそんなことがあるはずもなく,であるからして今回の作品も,そんな次第でいつかぬるりと出来上がるのだろう.作者としては,その出来上がりをただ指をくわえて待つだけだ.