苦し紛れに眠った.生きたり死んだり,人間は忙しい.僕は人間だ.僕は忙しい.いつだって必死だ.

青い鞄.眠り薬とカフェインの錠剤.エナジードリンクの空き缶と,精神安定剤.無音を塞ぐためだけの音楽.矛盾だらけの部屋だ.明け方と真夜中の隙間でタバコを吸う.

時々目にする景色.一心不乱に髪を触る女性.なにがあったんだろう.髪の中に忘れ物かな.あるいは,邪な観念に触れた指を拭いているのかもしれない.髪で手を拭くな.嫌いじゃない.

叫ぶ練習をしている.叫びたくなったときにいつでも上手に叫べるように.まだ叫んだことはないけど,叫べるなら叫びたかったことはきっと何度もあったはずだ.次こそ響け僕の真新しい抑圧.

温泉を飲まされた.悔しかったので,水道水で薄めて飲んだ.水の味がした.水の味が僕には分からない.つまり,なんの味もしなかった.