何も知らなければよかったな、と,思うことは多い.知ってしまうと,知らなかった頃には戻れない.きっと知ることは,幸福でも不幸でも,良いことでも悪いことでもなくて,ただ,受け入れられる世界の有り様をちょっとだけ減らす,その原因になっているだけなんだ.

泥酔した休日はあかつきを覚えない.朝なんてないんだ.だって,酔っぱらうってことは,いつだって朝の前借りだから.

とてもいい匂いがする何かが,この家のどこかにある.どこにあるかは特に気にならない.どこにあるかを気にしなくても,匂いって勝手に立ち込めるから.