翼の具合はどうだろう.気にかかる.高いところまで飛ぶはずの君のことを考える.きみはきっといつか,何かを変える.それはたぶん,抽象的で大きな概念だと思う.虹とか,文学とか,あとは,そうだな,恋愛とか,人間とか.

その翼には高い空が似合う.僕が知る中でもとびきり大きな翼だ.青空を背にして夏の風を切る流線型の両翼.大いなる渡り鳥の翼を想像する.

傷ついても,君には君のための空がある.だから羽ばたくことをやめないでほしい.世界が呪わしく思えたら,それは疲れているだけだから,よく眠って,暖かくて美味しいものを,お腹いっぱいのすこし手前くらいまで食べて,冷たい水をすこし飲んで,もしあれば,目薬をさしてから眠るといい.必要なら薬の力を借りるのも悪くない.

きっときみはこれを読まないだろう.だけど,伝えることよりも,書くことに意味がある文章というのも存在するんだ.きみに向けて,僕は自分のためにこれを書いている.