近頃あまり作文をしていない.なぜかというと,よくわからない.脳のリソースというのは無論有限なので,それらが全て数学と計算機に注がれている今,それらと同様か,あるいはそれ以上にコストの高い作文という行為を避けているのは,僕の脳味噌の防衛本能なのかもしれない.数学をやって作文もやって,ということを,一時期,それこそ一年くらい続けたことがあるのだけど,ペースとしては月に一度くらい,気絶するように倒れて,ペースとしては2ヶ月に一度くらい,倒れたまま起き上がれずに入院していた.過去の自分のエピソードを思い出すたびに,そういう極端さがそこここに見えて,なんだか愛おしくなる.きみは,これからもずっと苦労をするし,精神の充実なんて自分とは一生無縁だと感じながら,若さを持て余していろいろと足掻くことになる.それは何年も続く.自分の普通でなさに嫌気がさして,何度も本気で自分の生命を呪ったりもするだろう.それでも,きみは生きている.きみがきみを愛するように,きみ自身を愛してくれる人もあらわれる.それがきみのすべてを救うわけではない.だけど,きみがいま行っているいろいろなことは,思わぬところで,思わぬ形で,きみ以外の誰かに確かに届いている.だから,もう少し足掻いてみてくれ.と,そんなことを言えるくらい,僕は僕の過去について,寄り添うことをやめている.