顔が変わってきた.僕は自分の顔についての評価がほとんどないので,これが良い変化か悪い変化かは分からない.老いてきているのだろう.鳥も国も,人も時も,みな老いていく.そう思いながら,心臓の鼓動を,静かに味わう.

若くありたいとは思わない.きっと,僕はまだ自分自身に納得したことがないからだと思う.振り返ってあの頃は良かったなんて思えるようにタイミングがない.いつも僕は愚かで未熟だ.

遠い国のことを思い出す.南国だ.極彩色の鳥を見たのを鮮明に覚えている.緑色の,本当の緑色の鳥.本当の赤の鳥.本当の色.僕の色はまだ本当ではない.絵具は混ざるばかりで,ちっとも還元されない.

高い木を見た.見上げた.見上げると空が見えた.木と空が同時に視界を占めた.木の先端は滑らかに尖って,変な形の雲に突き刺さっていた.冬の匂いがしていた.