不意に,過去が吹き上がった.かつて好きだった人たちが,かつて好きだった人たちのまま,僕の世界に舞い戻ってきて,景色はまた彩りを取り戻した.喜びで指がふるえた.次,みんなに会ったら,ちゃんとありがとうを伝える.僕はまだ悲哀に打ちひしがれてばかりだけれど,なんとか人間の形を保っています.胸を張って元気ですとは言えないけれど,ちゃんと元気に見えるように頑張っています.

気の長い土曜日がゆっくりと暮れてゆく.薄暗がりの路地で,花屋の照明がおおきな雪洞のようにポツンと明るい.