嬉しいときもあれば,悲しい時もある.だけど世界は,僕の世界は満遍なくなんとなくいつも悲しい.それは僕が満遍なくいつも悲しがっているからなのだと思う.悪い夢だとは思わない.いつか覚めるとも思えないし,そもそも僕はいわゆる夢をあまり見ないから,自分の生きる世界の色合いを説明するのに,夢を引き合いに出すのは不適切なのかもしれない.

だけど,この世は悲しい夢だ.これはもう比喩ではなくて,実感だ.うつろな光が白くうずまいているだけの悲しい夢.あらゆる感情が漠然と悲しみの方を向いている夢.夢の中でそれを夢だと確信しているような夢.そしてその夢が,見果てぬ夢だとも確信しているような夢.僕の生きる悲しい世界.たまに,この上なく美しい.