脳がいささか暴走気味で,多動に拍車をかけていた.発散されるべきエネルギーは,キーンと高い音を立てて一点に絞られ,焼けつき,焦した.その結果,一粒の涙が流れたことを,僕はきっと忘れてはいけない.過剰はいつも傷つける.それが自分が他人か,人かものかを問わず,過剰は欠落よりも常に多くを奪う.だからせめて足りない人間として生きていこうとしていたのに,それも結局うまくいかなかった.僕は持て余しているし,僕は有り余っている.残滓の循環.廃棄物の更新.そんな抽象的なサイクルが,さまざまな思念を巻き込んで,音もなくずっと,延々と続いている.いつ終わるともしれないそういうサイクルの自律的回転に漠然と思考リソースを奪われながら,失恋を歌ったと思しき歌の一節が,ずっと頭の中で繰り返されている.