思考のメモを書いては捨てて,書いては捨てて,取っておこうと思って無くして,捨てたと思ったものが紙屑になって発見されて,僕の思考の断片はセルロースの繊維に滲んで一帯に散逸している.特に気がかりでもなかったし,結局アクティブな知識としていい速度で呼び出したり使ったりできる知識は脳みその中に格納してあるので,そういうメモの類はこれまで,僕の脳の挙動をぶちまけるためのインターフェースとしてしか作用していなかった.のだが,ここ数日,いいツールを発見して,そのUXに感動しつつ,非常に便利に使っている.これならなんでも書いておけるし,絶対になくならないし,妙な情報の構造化に疲弊することも,関連付けのコストに苦悩することもない.だから僕は生まれて初めて,自分の思考の軌跡というものを可視化し始めた.これまでの人生で日記は毎日のように書いているけれど,それはあくまで情緒の記録や,精神性の吐露であって,時間に対して累進的に蓄積する,俗にいう知識とかいうやつの,それが増えていくその様や,関連の様子を,自分でも観測しようとしてこなかったし,だから,観測したこともなかった.今初めて,それを観測していて,どうやら僕は本当に多動らしいということがよくわかった.僕の脳みそは落ち着きなくフル回転を続ける.今日も,昨日も,明日も,明後日も,ずっと.