天才扱いを受ける.受けてきた.いつからかは思い出せない.昔からそうだった.天才.なんて簡単な肩書きだろう.ポジティブな感想なのだということくらいは分かる.しかしそれ以上は何も分からない.僕を天才呼ばわりする人は,僕の何を理解することを諦めているのだろう.僕のどんな部分が,彼や彼女にとって不可解なのだろう.僕はいつだってこんなにも分かりやすいのに.僕の肉体は透明なアクリルのようで,だから肉体の内側に置かれた僕の魂の色や形は誰から見ても明らかなように思えるし,僕の表現はいつも僕自身の内面性をあからさまに代弁しているというのになぜ,みんな僕を理解するのを諦めてしまうのだろう.

僕は誰かに理解されたいわけではないし,むしろ誰にも理解されないような,自分すらも理解できないようなひとつの嵐や,一つ繋ぎの混乱でありたいのだけど,たとえば自分の目の前に今の自分くらい混乱した存在があらわれたとしたら,僕はきっと彼や彼女を理解したくて理解したくてたまらなくなると思う.

でもみんなはそうならない.不思議だ.