見知らぬ土地で過ごす.離れること.しかも,遠く離れること.移動ではなく,居住すること.そんなことごとを,静岡で噛み締めている.

僕は結局のところ,都市の人だし,都市の気配の中でしか,いたるところ匿名な街並みの中でしか,きっとそれらしく生きていくことができない.それを日々実感している.消費に最大の価値を置くような都市的な生活が必要なわけでも,見栄を張って都会人ぶって生きていたいわけでもない.僕が都市を必要とするのは,僕のような存在者の理想がそこにあるからだ.変わり続ける混沌.僕は都会の街並みのような人間でありたい.無自覚で無遠慮なスプロールを絶えず繰り返す,魔法じみた出来事たちの器でありたい.