唐突に,髪を切った.ずっと何故か切らずにいたので,とうとう切った.気持ちがいい.髪を切るたびに思うことふたつある.ひとつは先述の通りだ.気持ちがいい.もうひとつは相反するようだが,二度と髪なんて切りたくない.次に髪を切るのはいつだろう.案外明日や明後日にでも,また切りたくなったりするのかもしれない.切りたくなったら切ってしまう.僕の身体はそうなふうに出来ている.したいのにしない.例えば,切りたいのに切らない,といった向きの我慢が,どうしても出来ない身体なのだ.

仕事を通して世界を見る.というようなことを,なるべくしないで生きていきたい.僕は仕事がそれなりに嫌いだ.僕は今東京在住の20代男性だが,東京在住の20代男性としては破格なくらいに仕事が嫌いだ.これはそれなりに自信がある.仕事があまりにも嫌い過ぎて,側から仕事が好きな人だと思われることすらある.事実はまったく逆なのに,だ.別に仕事が好きな人だと認識されることはそれほど問題ではない.それによってこうむる実害はほとんど考えられないからだ.実際,今のところ実害に相当するようなトラブルには遭遇していない.

しかし,仕事が嫌いで,本当に嫌々仕事をしているのに,仕事が好きな人だと思われることの,その原因には少し興味がある.その原因が分かることは,自分についての何か面白い知見を含んでいる気がする.例によって,気がするだけなのかもしれないけれど.